大分大学大学院福祉社会科学研究科大分大学大学院福祉社会科学研究科

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ご挨拶

 大学院福祉社会科学研究科は、2002年4月に「福祉社会科学」という新たな学問領域の構築と福祉社会の担い手となる人材の養成をめざす独立大学院として開設されました。
 本研究科は、「福祉社会科学」という理念の下で、深い人間理解を基礎におきつつ、国家・地域社会・NPO・企業などが福祉社会で果たす役割を科学的に分析するために、社会福祉学、法律学、経済学、社会学、経営学、教育学など幅広い社会科学の連携によって、現代社会における複雑で多岐にわたる福祉の諸課題について総合的・多角的に教育研究を進める、国立大学としてはじめての研究科(修士課程)です。
  こうした目的を達成するために、本研究科には福祉社会政策分野と人間社会福祉分野の二つの教育分野およびその基盤領域をおいています。基盤領域は、福祉にアプローチする基本的枠組みと実践的課題の探求方法の修得、福祉社会政策分野は、福祉社会の形成発展や福祉政策に関する教育研究、人間社会福祉分野は、福祉サービスの方法やあり方についての教育研究に取り組んでいます。

 
 本研究科は、創立以来こうした教育研究体制の下で、福祉政策の計画・運営や福祉臨床に関わる高度の専門性と実践力を備え、福祉社会の担い手となる高度専門職業人の育成に取り組んできました。とくに、社会人学生を広く受け入れ、専門的な能力の高度化をはかるとともにリカレント教育にも努めています。修了生の多くがソーシャルワークのリーダーなど高度な福祉専門職として福祉の現場や医療機関等で活躍しています。また、研究を志向する者も少なくなく、大学等で研究・教育職につく者を数多く輩出していることもひとつの特色です。

 現在、国と地方が一体となり地方創生に取り組んでいる中で、大分大学では、どのような形で地域に貢献することができるかをしっかり見極めながら、更にレベルアップした地(知)の拠点として、より社会に求められる付加価値を備えた人材の養成、社会のイノベーションをもたらすような研究成果の還元など、地域社会に活力をもたらすことができるよう機能強化を図っているところです。

 本研究科においても、地域社会との連携にも積極的に取り組んでいます。修了生の多くが、大分県内の福祉の現場で活躍していることはいうまでもありませんが、本研究科の研究成果を地域の社会福祉の推進に生かすとともに、現代福祉社会の課題について福祉専門職と本研究科教員との間で議論を深めるために、大分県の福祉専門職5団体と共催して、福祉専門職講座を定期的に開催しています。このほかにも、国際シンポジウムの開催や自治体の委託による地域調査などを通じて、地域との連携を深めています。

 今日、少子高齢社会や人口減少が進み、多くの地域社会では社会経済の担い手の減少を招き、地域社会の機能維持への危機感が生まれてきています。また、子どもの貧困など貧困格差の拡大や家族・地域のつながりの希薄化の問題、子育てや介護が同時期に発生するダブルケアや老老介護の問題、非正規労働者の増加など雇用環境変化などが重要な社会問題となっており、福祉社会は多くの課題に直面しています。本研究科は、これらの課題の解決をめざす教育研究をさらに深めるとともに、福祉社会の担い手となる人材の育成に努めてゆきたいと考えています。福祉に関心をもつ多くの方々が本研究科で学ばれることを願っています。また、本研究科は、福祉社会の諸課題について、幅広い分野の研究者と実務家が一緒になって議論し、交流する場としての役割を担いたいと考えています。多くの方々のご支援・ご協力をお願いいたします。

研究科の沿革

 大分大学大学院福祉社会科学研究科は、国立大学の人文社会系として初めて福祉に焦点を当てた大学院・独立研究科として2002年4月に発足しました。これは、(旧)大分大学が1994年以来、大学改革において力をいれてきた福祉への取り組みの一応の締めくくりの意味をもちます。

 すなわち、学部レベルにおいて、経済学部に地域システム学科、工学部に福祉環境工学科、教育福祉科学部に人間福祉科学課程を設置するとともに、全学的な組織として福祉社会科学研究センターを設置し、全学的に福祉に取り組む体制を整備しました。その後、大学院レベルの教育・研究体制として、2001年4月に、工学研究科に福祉環境工学専攻を設置し、社会福祉系のものとして、今回、福祉社会科学研究科が発足したものです。これによって、(旧)大分大学の福祉に関する教育・研究のための組織が、学部レベルと大学院修士課程レベルまで整備されたことになります。

 私どもが、この福祉社会科学研究科を設置した目的は、少子高齢化が急速に進行するわが国の福祉の課題として、これからますます福祉人材の需要が高まることが想定されることから、高度の専門性を有する人材が必要とされること、また、専門性を高めるためのリカレント教育が必要になること、などの社会的要請に応えるためです。