垣田裕介の研究室

丸山眞男関連文献

◇更新:20050913



丸山眞男 (まるやま・まさお)

◇略歴: 1914年大阪に生まれる。1937年東京大学法学部卒業。1940年助教授、1950年教授。 1961-62年ハーバード大学特別客員教授。1962-63年オックスフォード・セント・アントニーズ・カレッジ客員教授。 1971年退官。1975-76年プリンストン高等学術研究所員。1996年8月15日没。
◇主要著作: 『政治の世界』(1952)、『日本政治思想史研究』(1952)、共編『政治学事典』(1954)、 『日本の思想』(1961)、『増補版 現代政治の思想と行動』(1964)、『戦中と戦後の間』(1976)、 『「文明論の概略」を読む』(1986)、『忠誠と反逆』(1992)、『丸山眞男集』全16巻・別巻1(1995-97)、 『丸山眞男講義録』全7巻(1998-2000)、『自己内対話』(1998)。
※ みすず書房ホームページを参照して作成した。



■ 主な著作

◆丸山真男(1961)『日本の思想』岩波書店(岩波新書)。192頁、735円。
◇〔出版社HPより〕現代日本の思想が当面する問題は何か.その日本的特質はどこにあり,何に由来するものなのか. 日本人の内面生活における思想の入りこみかた,それらの相互関係を構造的な視角から追求していくことによって, 新しい時代の思想を創造するために,いかなる方法意識が必要であるかを問う. 日本の思想のありかたを浮き彫りにした文明論的考察.

◆丸山眞男(1964)『現代政治の思想と行動』(増補版)、未来社。585頁、3675円。 初版刊行は、上巻1956年、下巻1957年。
本書1957年版の英語版= Thought and Behaviour in Modern Japanese Politics, Oxford University Press, 1963.
◇〔Amazon HPより〕出版社/著者からの内容紹介
戦後日本を代表する政治学者・丸山眞男の『日本政治思想史研究』(東京大学出版会)にならぶ主著。 「戦後日本社会科学の精神的起点の一つ」(道場親信)と評され、「丸山学派」とよばれる多くの学者に影響を与えた。 三部に分けられ20本の論文が収録されている。各論文は、講演調、書簡体、対話体と、 ヴァラエティにとんだ歯切れのよい文体でつづられており大変読みやすく、 また著者自身による詳細な「追記および補註」も読者の理解を助けてくれる。 第一部には「日本ファシズム」をめぐる論考がおさめられている。 特に「超国家主義の論理と心理」の与えたインパクトは大きく、その後の天皇制分析の出発点となった。 「軍国支配者の精神形態」では「無責任の体系」というキーワードで日本の支配機構を分析、 戦争責任問題の分析への道をひらいた。第二部にはファシズムと同時に共産主義の問題も論じている。 第三部では政治学の基本的な概念を整理した文章がならんでおり、著者自身の時代状況への対応も見ることができる。 「現代における人間と政治」では、『独裁者』などチャップリンの映画からときおこし、 知識人の役割についての考察を深めている。半世紀たった今も、全く色あせるどころかますます輝きをます政治学的考察の宝庫。

◆丸山真男・福田歓一編(1975)『回想の南原繁』(南原繁著作集別巻)、岩波書店。664+8頁。

◆丸山眞男(1976)『戦中と戦後の間――1936-1957』みすず書房。640頁、4410円。
◇〔出版社HPより〕本書はいわゆる“15年戦争”の真只中において思想的学問的発足をした著者の、 緑会懸賞入選論文(I936)にはじまる戦中の25篇、戦争の“暗い谷間”を脱した8.15を刻印する 「近代的思惟」の小論より、マッカーシズムの旋風に倒れたE・H・ノーマンの回想(1957)まで戦後の36篇、 あわせて61篇の論稿を年代順にあつめたものである。
日本史のなかでもきわめて特異な、この政治的社会的環境のなかにあって、 著者の学問的な営みがいかなるものであったかを、本書は物語るであろう。 「およそ人間に関することで、私に無縁なものは何一つとしてない」(テレンティウス)。 本書に見られる想像力と思惟の比類ない結晶は、そのみごとな例証であろう。
入手困難をきわめる著者の文章がここにまとめられ、読者の久しい要望にそうことのできるのはこの上ない喜びである。

◆丸山眞男(1982)『後衛の位置から――『現代政治の思想と行動』追補』未来社。192頁、1575円。

◆丸山眞男(1983)『日本政治思想史研究』(新装版)、東京大学出版会。420頁、3570円。 初版刊行は1952年。
本書の英語版= Studies in the Intellectual History of Tokugawa Japan, Princeton University Press, 1974.

◆丸山真男(1986)『「文明論之概略」を読む』全3冊、岩波書店(岩波新書)。
◇〔出版社HPより〕『文明論之概略』は,福沢諭吉の気力と思索力がもっとも充実した時期に書かれた 最高傑作の一つであり,時代をこえて今日なお,その思想的衝撃力を失わない. 敢えて「福沢惚れ」を自認する著者が,現代の状況を見きわめつつ, あらためてこの書のメッセージを丹念に読みとり,今に語りつぐ.読書会での講義をもとにした書下し.

◆南原 繁[述]、丸山眞男・福田歓一編(1989)『聞き書 南原繁回顧録』東京大学出版会。532頁、5040円。

◆丸山眞男(1997)『丸山眞男戦中備忘録』日本図書センター。171頁、5040円。
◇〔Amazon HPより〕敗戦の年、1945年4月から8月まで、広島の陸軍船舶司令部情報版で 海外情報の収集を任務とした応召兵・丸山真男が、任務の合間に記録した「備忘録」の影印版。 「被爆直後の広島」を含む戦時中の写真なども収める。

◆丸山眞男(1998)『忠誠と反逆――転形期日本の精神史的位相』筑摩書房(ちくま学芸文庫)。499頁、1470円。 初版刊行は1992年。
◇〔Amazon HPより〕開国の時期における、自我の原則と所属する集団・制度への忠誠との相剋を描き、 忠誠と反逆という概念を思想史的に位置づけた表題作のほか、幕藩体制の解体期から明治国家の完成に至る 時代を対象とした思想史論を集大成。『古事記伝』のなかに、近代にいたる歴史意識の展開を探る「歴史意識の『古層』」を付す。

◆丸山眞男(1998)『自己内対話――3冊のノートから』みすず書房。312頁、2940円。
◇〔出版社HPより〕〈国際交流よりも国内交流を、国内交流よりも、人格内交流を!  自己自身のなかで対話をもたぬ者がどうしてコミュニケーションによる進歩を信じられるのか〉
〈俺はコーヒーがすきだという主張と俺は紅茶がすきだという主張との間にはコーヒーと紅茶の 優劣についてのディスカッションが成立する余地はない。論争がしばしば無意味で不毛なのは、 論争者がただもっともらしいレトリックで自己の嗜好を相互にぶつけ合っているからである。 自己内対話は、自分のきらいなものを自分の精神のなかに位置づけ、 あたかもそれがすきであるかのような自分を想定し、その立場に立って自然的自我と対話することである。 他在において認識するとはそういうことだ〉 (本書より)
著者没後に見出された3冊のノートを一書にまとめた。1943年から1987年にかけて断片的に記された 多岐にわたる文章のそれぞれは、著者の思想の原石であり、このノートが、著者座右の、 いつも自己の原点に立ちかえるよすがであったことを示す。

◆丸山真男・加藤周一(1998)『翻訳と日本の近代』岩波書店(岩波新書)。189頁、735円。
◇〔出版社HPより〕日本の近代化にあたって,社会と文化に大きな影響を与えた〈翻訳〉. 何を,どのように訳したのか.また,それを可能とした条件は何であり,その功罪とは何か. 活発な言論活動を続ける評論家の問いに答えて,政治思想史研究の第一人者が存分に語る. 日本近代思想大系『翻訳の思想』(1991年刊)編集過程でなされた貴重な記録.

◆丸山眞男・松沢弘陽編(2001)『福沢諭吉の哲学 他6篇』岩波書店(岩波文庫)。336頁。
◇〔出版社HPより〕「実学」として知られる福沢の学問観の真の革命性を解明しようとする 「福沢における「実学」の展開」や,多面的で変幻自在な福沢の発言の根底にある思考方法を 明らかにしようとする「福沢諭吉の哲学」など,「自分なりに本当によく勉強し」大きな思想的影響を 受けた福沢諭吉についての,丸山眞男(1914−96)の論考7篇を収録.




■ 丸山眞男集 (全16巻・別巻1、岩波書店、第3次刊行)

◇〔出版社HPより〕平和と民主主義を根源的に問いつづけた戦後日本最大の知識人, 丸山眞男の全作品を編年集成した著作全集.1995−96年の第1次刊行に際しては, 戦後問い直しの機運のなかで広範な丸山論ブームが巻き起こった. しかし,戦争体制に急傾斜する今日の危機的な日本社会のなかでこそ, 本集は熟読されなければならないだろう.

◆『丸山眞男集 1 一九三六−一九四〇』(2003年1月)
◇〔出版社HPより〕2.26事件の勃発した1936年から大政翼賛会が発足した40年, 時局が総力戦にむけて大きく旋回する時代の初期作品を収める. 実質的なデビュー作ともいえる緑会懸賞論文「政治学における国家の概念」, 『日本政治思想史研究』の第1論文となる「近世儒教の発展における徂徠学の特質並にその国学との関連」など.

◆『丸山眞男集 2 一九四一−一九四四』(2003年2月)
◇〔出版社HPより〕軍国主義が席捲し,十五年戦争が最終段階を迎える中で, 丸山は抵抗の精神をいかにその思索の結晶に託したのか.本巻は, 『日本政治思想史研究』の第二論文「近世日本政治思想における「自然」と「作為」」, 丸山が出征の日の朝まで書き続けた「国民主義の「前期的」形成」など,時代と対峙する強靭な知性の軌跡を収める.

◆『丸山眞男集 3 一九四六−一九四八』(2003年3月)
◇〔出版社HPより〕1945年9月,丸山眞男は復員した.騒然とした社会情勢の中で, 戦後の第1作「近代的思惟」が確固とした声をあげる.続いて論壇に衝撃を与えた 「超国家主義の論理と心理」の出現−.戦後丸山眞男の出発点をなす作品を集成する. 他に,陸羯南−人と思想/福沢における「実学」の転回/科学としての政治学/福沢諭吉の哲学,などを収録.

◆『丸山眞男集 4 一九四九−一九五〇』(2003年4月)

◆『丸山眞男集 5 一九五〇−一九五三』(2003年5月)

◆『丸山眞男集 6 一九五三−一九五七』(2003年6月)

◆『丸山眞男集 7 一九五七−一九五八』(2003年7月)

◆『丸山眞男集 8 一九五九−一九六〇』(2003年8月)

◆『丸山眞男集 9 一九六一−一九六八』(2003年9月)

◆『丸山眞男集 10 一九七二−一九七八』(2003年10月)

◆『丸山眞男集 11 一九七九−一九八一』(2003年11月)

◆『丸山眞男集 12 一九八二−一九八七』(2003年12月)

◆『丸山眞男集 13 一九八六』(2004年1月)

◆『丸山眞男集 14 一九八六』(2004年2月)

◆『丸山眞男集 15 一九八八−一九九六』(2004年3月)

◆『丸山眞男集 16 雑纂』(2004年4月)

◆『丸山眞男集 別巻』(2004年6月)
◇〔出版社HPより〕年譜 総目次 著作目録 索引 ほか
◇〔Amazon HPより〕「続補遺」には、第十六巻刊行後に収録漏れが分かったもの三篇を収録した。 翻刻に際しては従来の方針に従った。




■ 丸山眞男座談 (全9冊、岩波書店)

◇〔出版社HPより〕人と語り合い議論することをこよなく愛した丸山眞男氏が, その時々に良き相手を得てくりひろげた座談を集成する. 対話者は学者・作家・ジャーナリスト・俳優など広範な分野におよび, 主題は学問はもとより時事問題から芸術まで多彩をきわめる. 知性と感性の響き合う闊達な座談の中から,類いまれな同時代史が立ち上がってくる.

◆『丸山眞男座談 1 1946−1949』(1998年8月)
◇〔出版社HPより〕一兵卒として戦場から復員した丸山眞男は,敗戦後の荒廃した風景のなかで何を考えていたのか. 本冊は,新しい社会秩序の形成にむけてアカデミズムの担うべき役割と課題を論じた「新学問論」, 戦後における記念碑的座談会「唯物史観と主体性」などを収録する.白熱する討議のなかから浮かび上がる戦後知識人の初心.

◆『丸山眞男座談 2 1950−1958』(1998年9月)
◇〔出版社HPより〕朝鮮戦争の勃発,サンフランシスコ講和,55年体制の成立等, 戦後日本の枠組みが形成された時期の座談を収める.占領の精神史的意味を問う「被占領心理」, ラスキの著作をてがかりに新しい社会構想を模索する「現代革命論」, ハンガリー事件の衝撃の中で現代革命が逢着する根本問題を論じた「現代革命の展望」等.

◆『丸山眞男座談 3 1958−1959』(1998年10月)
◇〔出版社HPより〕警職法改正の反対運動から60年安保へと大衆運動が高揚し, 戦後民主主義は新たな局面を迎える.その課題を近代日本の危機意識の展開に位置づけた 石母田正・竹内好・鶴見俊輔・中村光夫「日本における危機の特性」,思想史の方法を論じた 大塚久雄・久野収「思想の冒険」ほか,映画・演劇・音楽・文学について縦横に語る.

◆『丸山眞男座談 4 1960−1961』(1998年4月)
◇〔出版社HPより〕安保闘争の高揚がおさまった後,浅沼社会党委員長刺殺,「風流夢譚」事件などテロ事件が続き, 時代は安保の「宿酔」のなかで暗転する.本冊には安保闘争のただ中で行われた「擬似プログラムからの脱却」, 先進国における革命の課題と展望を先駆的に語った「現代における革命の論理」など,状況を見据えた発言を収める.

◆『丸山眞男座談 5 1964−1966』(1998年5月)
◇〔出版社HPより〕本冊は1964年から66年の発言を収める.戦後日本を歴史的に位置付け直し, その課題を精神革命として論じた,師・南原繁との対話「戦後日本の精神革命」, 戦前戦中期の知的状況を語った古在由重との「一哲学者の苦難の道」,日本の平和運動の課題を論じた 「現代における平和の論理」など,高度成長期の精神状況を洞察する.

◆『丸山眞男座談 6 1966』(1998年6月)
◇〔出版社HPより〕1960年代中葉,丸山は,卓越したマルクス主義思想家である梅本克己と 構造改革派の論客佐藤昇との3人で,安保後の知識人の状況や先進国革命の展望をめぐって, 徹底的な討論を行った.分野と立場を異にした3人によるこの忌憚ない討議空間の出現は, 戦後日本の知的事件であるばかりでなく,そこで論じられた課題は今なお示唆に富む.

◆『丸山眞男座談 7 1966−1976』(1998年7月)
◇〔出版社HPより〕本巻は,自ら「本店」と称した政治思想史研究に深く沈潜した時期の座談を収録. 丸山思想史の画期を成した論文「歴史意識の『古層』」をめぐる加藤周一との対話「歴史意識と文化のパターン」, 森有正・木下順二との「経験・個人・社会」,植手通有・西田長寿との「近代日本と陸羯南」など, “座談の名手”の面目躍如たる1冊.

◆『丸山眞男座談 8 1977−1982』(1998年11月)
◇〔出版社HPより〕丸山眞男の知的生産において深い意味を持った人々−宮沢俊義,E.H.ノーマン, 田中耕太郎,梅本克己,大内兵衛ら−への敬意に満ちた追悼と回想,埴谷雄高との生涯の交友を回顧する 「文学と学問」,ウェーバーとの出会いを語った「ウェーバー研究の夜明け」などを収録. 時代の証言者として丸山眞男は語る.

◆『丸山眞男座談 9 1983−1995』(1998年12月)
◇〔出版社HPより〕「戦後」から遠く離れた晩年の丸山眞男は,揺れ動く時代のなかに何を見ていたのか. 自らの来し方と現在の状況とを往還する対話に刻まれた,弛ゆむことなき思索の跡. 残された言葉は日本の行く末を静かに語りかける.




■ 丸山眞男講義録 (全7冊、東京大学出版会)

◆『丸山眞男講義録 第一冊 日本政治思想史 1948』(1998年)
◇〔出版社HPより〕戦中の記念碑『日本政治思想史研究』を引き継ぎ,封建社会の完成がすなわち崩壊であり, 近代への序曲となるプロセスを描きだす.半世紀の時を越えてよみがえる初期講義には, 「戦後」という時代の歴史意識が鮮明に刻印されている.(解題:宮村治雄)

◆『丸山眞男講義録 第二冊 日本政治思想史 1949』(1999年)
◇〔出版社HPより〕尊王攘夷から征韓論へ,明治期のナショナリズムはなぜ急速に帝国主義へ変貌していったのか?  短命におわった古典的国民主義に,戦後の“自由”を重ねあわせた,占領下での特異な年度講義. のちに視点を変えて「開国」論への途をひらいた.(解題:宮村治雄)

◆『丸山眞男講義録 第三冊 政治学 1960』(1998年)
◇〔出版社HPより〕60年安保闘争に積極的にコミットした背景に,どのような構想があったか. 急速に蔓延しはじめたアパシー状況を憂え,切々と学生に語りかけた,本郷で行われたただ一度の政治学講義であり, 政治的思考の解明から始まる独自の政治原論.(解題:渡辺浩)

◆『丸山眞男講義録 第四冊 日本政治思想史 1964』(1998年)
◇〔出版社HPより〕古代天皇制の形成から,鎌倉新仏教による変革へ!想を新たに開始された連続講義は, 日本の思想的伝統の“原型”を完膚なきまでに構造化してみせる.日本思想史の全体像に挑んだ, 書下しの通史のはじまり.丸山思想史学の全体像が示される.(解題:飯田泰三)

◆『丸山眞男講義録 第五冊 日本政治思想史 1965』(1999年)
◇〔出版社HPより〕古代国家の崩壊のなか抬頭してきた鎌倉武士団を大きくクローズアップさせ, 時と状況を重視する戦闘者の行動様式のうちに,主体的エートスの創出を見る. 幕末・維新の志士における「忠誠と反逆」の歴史的源流を突きとめた,未公開の注目すべき論稿.

◆『丸山眞男講義録 第六冊 日本政治思想史 1966』(2000年)
◇〔出版社HPより〕キリシタン問題を通して,文化接触による「横からの変革」を提起した注目すべき年度講義. これの禁圧によって,思想や文化への政治の優位が決定的となった.さらに,「閉じた社会」の精神構造をめぐって, 幕藩体制の統治原理と儒教の正統化を説く.巻末に第四〜第七冊の総索引.

◆『丸山眞男講義録 第七冊 日本政治思想史 1967』(1998年)
◇〔出版社HPより〕持続における変化,その変化の相に繰り返しあらわれるパターンに着目した “原型”の構造を歴史的前提として,講義は始められる.幕藩体制を支えた儒教思想の修正と変容から, 維新前夜の国学運動へ.――事実上の最終講義である.(解題:平石直昭)「講義年譜」を付す.




■ 丸山眞男書簡集 (全5巻、みすず書房)

◇〔出版社HPより〕戦後日本を代表する知識人が宛てた百数十人、千通近くの書簡(1940−1996)を、ここに公刊。 家永三郎、木下順二、萩原延壽宛の膨大な書簡から無名の市民への一通まで。 それぞれの状況下で丸山が世に伝えようとしたことの全貌を刻む。

◆『丸山眞男書簡集 1 1940-1973』(2003年11月)
◇〔出版社HPより〕〈福沢のいわゆる「何ぞ事物を信ずるの軽々にして、亦之を疑ふの早急なる」という 評論家の体質は一向にかわりませんね。それに、あるトピックについて熱風のように一つの方向性をもった (反動的であれ、自称革命的であれ)精神的潮流が形成されると、おどろくべきコンフォーミズムが インテリの世界をも支配する、という点でも、一体戦後日本は「一個独立の気象」においてどれだけ進歩したのか、 むしろテレビ・週刊誌文化の画一性によってそうした傾向に拍車がかけられたのではないか、と疑われます〉 (家永三郎宛 1969年8月29日)
第1巻は1940-1973年の171通。「津田左右吉宛 1940年6月21日」から広島応召中の手紙、60年安保、 ハーバード、オックスフォード滞在、東京大学辞任後まで。戦後思想を一身に引き受けざるをえなかった時代の丸山の思索と人柄を示す。

◆『丸山眞男書簡集 2 1974-1979』(2004年1月)
◇〔出版社HPより〕〈こちらではいわゆる日本学専攻の学者とのつき合いはなるべく避けていますが、 自民党といわゆる「極左」とを峻別し、何でお前達はもっと政府与党に影響力を行使しないのか、 などと僕などを「批判」していたアメリカの日本学者にショックを与えただけでも、 ロッキード事件が暴露されたことは良かったと思います。悪い心理とは知りながら「ザマ見ろ」という思いです。 貴兄のいわれる内発的告発は、まさにそのとおりで、アメリカは、文化的多様性の背景もあって、 一言では処置なしの思い上りとエゴセントリズムがありながら、他方ではまさに仮借なき内発的告発があり、 その両極のダイナミズムがこの国の面白いところです〉(木下順二宛 1976年6月4日)
南原繁の死、プリンストン、バークレー滞在、ロッキード事件、長年の友人であった武田泰淳・森有正・竹内好のあいつぐ死、 『戦中と戦後の間』刊行、「思想史の方法を模索して」発表など、本巻には1974‐1979年の173通を収録する。

◆『丸山眞男書簡集 3 1980-1986』(2004年3月)
◇〔出版社HPより〕〈シャモーニさんのLessing日本訳についての「論争」大へん面白く読みました。 私には、Lessingを論ずる資格はまったくありませんが、翻訳のなかにふくまれる「文化接触」のケースとして、 きわめて重要な問題と思います。一般的に言って、幕末明治以後、ヨーロッパ語の翻訳は、だんだん堕落した、 というのが私の考えです。たとえば、アメリカの独立宣言の翻訳は、幕末の「西洋事情」の中にある福沢の意訳が一番、 原意をよくつたえているのです。何というIronie〔皮肉〕でしょう!/お手紙に触れられた、 ドイツの新しいtotalitar〔全体主義的〕な傾向は、ただただ驚くばかりです。 戦時中の日本のmission schoolにたいする靖国神社参拝の強要などを連想させました。 けれども、日本に報道された、ドイツの戦域核兵器配備に反対する大きなデモはすばらしいではありませんか。 「唯一の被爆国」を売物にしている日本は顔色なしです。ああいう運動が高まって、 レーガン政権の世界政策をけん制する力になることを願わずにはいられません>(W・シャモーニ宛 1981年11月5日)
「闇斎学と闇斎学派」発表から、ドイツ語版『日本の思想』刊行にいたる〈校正〉書簡、バイロイト音楽祭再訪、 『「文明論之概略」を読む』刊行まで。1980-1986年の201通を収録する。

◆『丸山眞男書簡集 4 1987-1991』(2004年6月)
◇〔出版社HPより〕大分への旅、「昭和天皇をめぐるきれぎれの回想」執筆、シュピーゲル事件など。
◇〔Amazon HPより〕昭和天皇の死、天安門事件、ベルリンの壁崩壊後と冷戦構造の解体…。 時代のうねりの中で、丸山は何を考え、どのような見解を知友に伝えていたのか。晩年の書簡286通を収録。

◆『丸山眞男書簡集 5 1992-1996・補遺』(2004年9月)
◇〔出版社HPより〕〈こういう個人的な問題をここでくだくだ申し上げたのは、こういう状況の下にある私にも、 小田さんのために、また阪神の罹災者のために、何かできることがないだろうか、という思いからです。 もっと事態が鎮静し、小田さんがミニマムの日常性をとりもどせるようになりましたら……小田さんにお会いし、 小田さんの大変な経験をお伺いし、また私は私で、広島被爆から関東大震災にいたる被災経験をお話して、 そこからどういう一般普遍的な問題を引き出せるか、というようなことを語り合いたい、と切実に思っております。 しかし、もっと切迫した具体的な事柄として、私にもいまお手助けできることがあれば、どうかsuggestして下さい〉 (小田実宛 1995年1月20日)
阪神大震災、オウム真理教… ガン治療のさなか、最晩年の丸山は何を社会に遺しておこうとしたのか。 埴谷雄高、大江健三郎宛てなど、83歳で生涯を終えるまでの書簡175通(1992-1996)および補遺106通(1951-1991)を収録。 巻末には全5巻の総索引を付す。




■ 丸山眞男対話篇 (全3冊、岩波書店=岩波現代文庫)

◆古在由重・丸山眞男著、飯田泰三解説(2002)『一哲学徒の苦難の道』(丸山眞男対話篇1)、 岩波書店(岩波現代文庫)。238頁、945円。
◇〔出版社HPより〕その人間の学問と思想が本物かどうかが試されるのは, 不幸にして極限状況においてであるということは,浮薄の言説のとびかう今日の日本にもあてはまる. 大正デモクラシーから,昭和戦前期のマルクス主義との格闘,転向の時代, 自伝的回想がそのまま現代日本の思想史を形成する2人の知識人の学問,政治,思想.

◆梅本克己・佐藤 昇・丸山眞男著、間宮陽介解説(2002)『現代日本の革新思想 上』(丸山眞男対話篇2)、 岩波書店(岩波現代文庫)。214頁、840円。
◇〔出版社HPより〕日本の戦後思想はいかにして形成され,どのような限界をもっていたか. 哲学,経済学,政治思想を専攻する知識人が,自らの体験と学問を賭けて語り合う貴重な記録. 民主主義,社会主義,ナショナリズム,日本のマルクス主義思想,先進国革命, イデオロギーと科学等々の提起された緒問題は35年を経た現在を鋭く透視している.

◆梅本克己・佐藤 昇・丸山眞男著、間宮陽介解説(2002)『現代日本の革新思想 下』(丸山眞男対話篇3)、 岩波書店(岩波現代文庫)。302頁、840円。




■ その他 (岩波書店、東京大学出版会、みすず書房)

◆笹倉秀夫(1988)『丸山真男論ノート』みすず書房。339頁、2730円。
◇〔Amazon HPより〕丸山真男は、新しい社会科学の開拓者として、戦後の思想に大きな響影を及ぼしてきた。 すでに古典とさえいわれるその数多くの作品は,広範な読者に深い感動と新鮮な認識を与えてきたし、 これからも与えつづけるであろう。この作品群を生み出した思考は、全体としてどのような構造をしているのか。 著者は、論文から時評、エッセー、対談にいたるまで、その作品を精細にたずね、熟読・再読・再々読し、 状況への発言による必然的な拡散するイメージを一つの観点から関連づけ、内的統一をもった丸山真男の思想像を再構成しようとする。

◆「みすず」編集部編(1997)『丸山眞男の世界』みすず書房。168頁、1890円。
◇〔出版社HPより〕「丸山は日本における倫理的な個人主義と実質的な民主主義の萌芽に目をかけることを決してやめなかった」(ベラー) 「丸山の思想はアジア全体の研究者一般に共通する新鮮さと妥当性を内包している」(ナジタ) 「1960年の浅沼稲次郎刺殺事件に際し、右翼の青年をそうした暴力に駆り立てた状況を問題にする 議論が巷にあふれるのを見た丸山は、人の行動には結果が伴うのだということを国民に想起させた」(ジャンセン) 「オーウェルやハーバーマスのように、丸山は、自分の生きた時代に忠実だった」(グラック)。
戦後の世界に問題提起をつづけた丸山眞男については、昨夏に氏が亡くなられて以来、さまざまな議論があった。 本書は『みすず』誌96年10月号の「追悼・丸山眞男」特集にもとづく。 第一部では、最後の文章「『矢野龍溪資料集第一巻』序文」の他に、 丸山の思想形成に多大な影響をあたえた関東大震災を描いた九歳の時の作文「大震災大火災の思出」など 少年時代の三編を加え、第二部ではベラーなど海外15名、国内10名の追悼文を集めた。 多方向からの視点を編んだこのユニークな書は、丸山の人と思想を新たにみつめる。

◆福田歓一(2000)『丸山眞男とその時代』岩波書店(岩波ブックレット)。62頁、462円。
◇〔出版社HPより〕戦後を代表する政治学者丸山眞男の出発地点――世界恐慌から15年戦争へ突入した昭和初期と, 「バブル」の崩壊を経て新たなナショナリズムが台頭する現在とは奇妙な一致をみせる. この危機的状況下で,時代との格闘の中から生まれた丸山の思想をいかに受け継ぐべきか. 長年の併走者であった著者による「丸山眞男読解」の試み.

◆宮村治雄(2001)『丸山真男『日本の思想』精読』岩波書店(岩波現代文庫)。230頁、1155円。
◇〔出版社HPより〕「である」ことと「する」こと,「タコツボ型」と「ささら型」,「実感信仰」と「理論信仰」など, 卓抜な概念が多くの人を魅了してきたこの名著には,既成の丸山像を揺るがす力が秘められている. 日本の伝統から積極的な価値を引き出そうとした「開国」論を軸に,丸山真男の果たしえなかった企図を今日において引き継ぐ力作評論.

◆小林正弥編(2003)『丸山眞男論――主体的作為,ファシズム,市民社会』(公共哲学叢書2)、 東京大学出版会。288頁、3570円。
◇〔出版社HPより〕戦後日本を代表する知識人,丸山眞男をめぐっては,好意的にも批判的にも多くが語られ続けている. 丸山の思想はいかなる可能性と限界をはらんでいるのか.誹謗論と護教論の2項対立を超えて丸山解釈の進展をはかり, 未来に向けて,その思想を批判的に発展させる.

◆笹倉秀夫(2003)『丸山眞男の思想世界』みすず書房。496頁、6510円。
◇〔出版社HPより〕「丸山眞男が、戦後日本の重要な思想家であることは、多くの人が認めるところであろう。 だが、その膨大な作品に結晶している丸山の思想と思考は全体としてどのような構造を成しているか、 かれの作品群は相互にどう連関しあってどういう政治原理や人間論を提起しているか、 そうした思想的な営みの基底をなす丸山の〈生〉がどういうものであり、それがかれの作品をどう規定しているか、 総じて丸山の思想世界はどういうものか――こうした問いを改めて突きつけられると、 われわれがもっていた丸山イメージはゆらぎ出す」
著者も記しているように、丸山眞男の思想世界は複合的で、ときに二律背反的にみえる。 本書は、丸山の作品群にあらわれた多様な思想的諸要素と思考方法を丹念に追いながら、 著者の問題関心ともからめて、一つの思想像を再構成する試みである。 学生時代の論文「政治学に於ける国家の概念」『日本政治思想史研究』から『自己内対話』『丸山眞男講義録』まで、 佐久間象山、福沢諭吉からヴェーバー、フルトヴェングラーまで、論文・座談を問わず、 丸山の作品を網羅した本書からは、一人の思想史家の像がくっきりと浮かび上がる。
巻末に付した三つの「索引」を含め、本書は、これから丸山眞男を読む人のための道案内になるとともに、 その開かれた思想世界の全体を今後の時代に生かしてゆくために、なくてはならない書にもなるだろう。

◆石田 雄(2005)『丸山真男との対話』みすず書房。218頁、2625円。
◇〔出版社HPより〕丸山眞男の最初の弟子として、1947年の第一回丸山ゼミに参加して以来、 つねに丸山のそばで距離をとりつつみずからの政治学を実践してきた著者が、はじめて纏める論集である。
他者を理解するとはどういうことか――イラク戦争はじめ9・11以後の世界を生きるわれわれにとっての 〈他者感覚〉の重要性を訴える書き下ろし「丸山眞男との未完の対話を持続するために」、 60年代前半から、初期には藤田省三ともども丸山の死の直前まで一貫したテーマの下につづけてきた 〈正統と異端〉研究会の詳細を描いた「『正統と異端』はなぜ未完に終ったか」、 〈市民社会〉と〈国民国家〉を論じた丸山への問題提起の論文「丸山眞男と市民社会」、 丸山没後にまとめた「日本政治思想史学における丸山眞男の位置」を中心に、その今日的意味を思考する。
その他、「丸山眞男と軍隊体験」「丸山眞男と日本の政治学」「『戦争責任論の盲点』の一背景」など全13編。 近くにいた人間ならではの具体的な証言と研究者としての距離感がうまくブレンドされた、 他の人には及ばない丸山の思想と人の姿を伝える。

◆NHK編(1997)『NHKビデオ 丸山眞男と戦後日本』全2巻、 発行:NHKソフトウェア/発売:みすず書房。14280円(2巻セット)。
◇〔出版社HPより〕最後の知識人の肖像
戦前・戦中・戦後を通じて、丸山眞男は、日本人の精神構造と政治意識のなかに潜む問題をあざやかに分析し、 戦後民主主義の展開に指導的役割を果たした。
60年安保でも議会制民主主義の危機を訴えるなど論陣を張った丸山だが、 東大紛争直後からジャーナリズムには固い沈黙を守りつづけ、自らの研究に専念する。
晩年の丸山は、どのような思索を重ねていたのか。1996年8月15日にその生涯を終えた丸山の書斎には、 かつて東京大学で講義された「日本政治思想史」のための膨大な準備ノートをはじめ、多くの遺稿が残されていた。
第1巻:民主主義の発見
軍隊の体験、そして敗戦直後の生活のなかでどのようにして民主主義をとらえ、その思想を確立したのか。 丸山眞男の生涯を追いながら、残された遺稿と肉声のテープをもとにその研究の足跡をたどる。
第2巻:永久革命としての民主主義
安保条約強行採決、昭和天皇の病状が一進一退する際の自粛ムード、オウム真理教などの事件…  「他者感覚の無さ」に起因する日本の民主主義のもろさを批判しつつ、戦後の民主主義のあり方、 社会のありようを丸山は注視し続けた。
各巻45分 全2巻セットVHS Hi-Fi STEREO




垣田裕介の研究室